アマゴワクチン/『みどりのマキバオー』
3強と言われながら、早々に骨折させられ(泣)、皐月は満身創痍で惨敗、ダービーには出走できず、やっと戻ってきた菊ではカスケードにすっぽかされ…結構不幸なお人(いや、馬なんだけどさ)。 とは言え、あの怪我があってこそのワクチンでもあります。 それぞれ独自の走法を持ち、どちらかというと本人の素質、末脚のスピード勝負のマキバオー、カスケードに対して、「策」の馬という位置づけを確立したのは、やはり皐月賞からでしょう。そして何より、菊花賞の盛り上がりは、骨折で春を棒に振った彼の執念あってこそのものでした。 策を弄したり、他馬のペース引っ掻き回したりというのは、少年漫画だと、一歩間違うと卑怯とかせこいキャラになりそうなんだけど、競馬という舞台も手伝って、作戦も強さのうちだという認識がちゃんと作品内にあるので、主人公や他のキャラたちにも正当に評価されてるのが嬉しい。 また、主人公も調整万全の状態で戦って、2回勝っている、と言う点では、第2ライバルキャラとしては相当優遇されているとも言えます。 ただ、同じライバルと言っても、マキバオーにとってカスケードはむしろ「目標」だったし、ワクチンもまた、主人公・マキバオーではなくカスケードを追っていたわけで、同じものを目指す競争相手という意味では、マキバオーとワクチンこそがまさしくライバル同士だったと言えるのではないでしょうか。菊花賞をカスケード抜きであれだけ盛り上げ、しかもワクチンの勝利で終わらせることで、ワクチンがマキバオーと並んでカスケードを追うに相応しいキャラであることが改めて示されたのであり、3強の一角だからこそ、他の2頭とは違う特性を持たせ、またワクチンというキャラをここで爆発させるために、骨折というハンデを与えられたと言ってもいいのかもしれません。 それだけに、有馬記念はワクチンファンとしては物足りない部分があります。最終的にマキバオーとカスケード、この2頭の決着になるのは当然だし、ちゃんと燃えるんですが、そこに至る前に、マキバオーとカスケード、アマゴワクチンの3頭対決の場面を作ってあげてほしかった。レース自体も、ワクチンの特性がほとんど出ていなかったし。ニトロとかトゥーカッターを貶めるのでは決してなくて、ただ、せめてあと一歩、彼らとは差別化を図ってあげてほしかったと思うのです。レース前に、3頭で「今日こそオレ達の決着を」とか話してるから、尚更。
第2部は、ワクチンとトゥーカッターの絡みが多くてておいしいところもあるんですが、やっぱりのりきれない部分が多いですね。特にベア…。一部の頃のベアは好きなのになあ。 あ、でも最終回は「鵡川へ帰ろう」でぼろ泣きするけど。ワクチンの引退式、「キスくらいならしてやるよ」ってワクチンがすごくかっこよくてクラクラ。経歴アナウンス中のコマの、屈腱炎で痛そうなワクチンがなんかかわいい。そして色っぽい(笑)。最終話はちょっと顔が幼くなってます。 「ブリッツとの大接戦の末惜しくも2着」という秋の天皇賞をぜひ見てみたかった…!
これを描いた当時(2003)の菊花賞は親子2代制覇でした。ワクチンと同じ〜〜(笑)。 |