<みんなはひとりのために!>
おれたち4人、まだみんな揃ってる おれたちここに今3人、仲間を失う痛みを抱き 悲しいかなわが友よ、おれたち2人になっちまった 今やとうとうおれひとり 友はみな離れ離れ ―――勝利は近い、そうしたら誰も見捨てやしない |
王妃のダイヤの房飾りを持ち帰るため、イギリスへ向かう道中。
映画だと3人まとめて脱落してしまうことも多いですが、ロシア版はひとりずつ。
歌もだんだん人数が減っていくー。
原作では成り行きで脱落してしまった感のあるポルトスとアラミスですが、
こちらでは「敵はおれに任せて先へ進め!」という少年漫画の王道を行く男前な展開。
敵をひざまづかせるアラミスの似非坊主ぶりがおかしくも素敵なのです。
その代わり(?)アトスの電光石火のかっこよさはちょっと低下。ダルぼこぼこにされちゃってるじゃないか(笑)
でも馬で乗り込んでくるところなんか「冷静な向う見ず」らしい。
アトスはこの辺りから色気が出てくるなあ。
アラミス、アトスは歌のあとにそれぞれのテーマのメロディアレンジが入るのが芸細。
(ポルトスは持ち歌がないのでどこの曲を入れてるのかよくわからない…)
苦闘の末渡航許可証を手に入れてひとり船上の人となったダルの、最後の独白にぐっときます。
<アトスのバラード>
ラ・フェール伯爵の花嫁 彼女は16 伯爵の庭には暗い池 百合の花に埋もれた、百合の花に… ラ・フェール伯爵の花嫁は立派な奥方に 伯爵の庭には暗い池 百合の花に埋もれた、百合の花に… 若い奥方に一体何が起こったか? 女は前科者だった ――伯爵はどうなったかって? 伯爵の庭には暗い池 百合の花に埋もれた、百合の花に… |
ラ・ロシェルの戦場で、ミレディーに命を狙われた、と告げに来たダルに、
ミレディーの正体に思い当たり飲んだくれていた(戦場なのに)アトスがここで過去告白。
蝋燭だらけの怪しい部屋に、なんでかアトスひとり貸し切り状態(笑)。
なんで「プロヴァンス」なのかがよくわからない。アトスはベリー地方の出のはずだし、ミレディーが南部の出という記述もないし。
合間合間の台詞は「恋なんてくじみたいなもので、当たった奴が必ず死ぬ」とか、原作の台詞持ってきてますね。
このシーンの間中、ダルがひたすら反応に困ってるのが(笑)
ここのアトスは色っぽいと思う。髪を払うしぐさとか、表情とか。
「ともに池に身を投げた」は「伯爵なんてもういませんよ、女ともども身を滅ぼしましたよ」という自嘲的なニュアンスで訳してみたけど、
絶望して何もかも捨てたという比喩としては「全て池に沈めて捨てた」くらいの方が合ってるかな。
もうちょっとすっきり詩的にして含みを持たせるなら「全ては暗い池の底」とか。
全ての嘘も真も覆い尽くす不吉な百合の花のイメージが浮かぶ歌です。
<夕暮れ時に思い出すなら>
夕暮れ時に思い出すなら 破れてしまった恋がいい この世は罪深き者たちに豊饒な懐を広げる 知っているとも、もう子供じゃない この世は罪深き者たちに豊饒な懐を広げる |
ミレディーを処刑して虚しい気分になっているダルを、おれたちは共にある限り幸せさ、と慰めるアトス。
アラミスがまたもや歌いだします。最初のメロディーがアラミスのテーマと同じなのね。
アラミスとポルトスがいちゃいちゃしてるー(笑)
ずいぶんのんびりしてますが、ここ戦場です。
そんな歌歌ってるから、護衛士の皆さんに「バラの匂いがするぜー」とか嫌味言われちゃうんだよ!
<友情のバラード> (PART2エンディングバージョン)
命運はただ一筋の糸に繋がれたようなもの たとえ友が傷つこうとも それが戦のならい 我ら誇り高く、敵もまた誇り高く たとえ友が傷つこうとも それが戦のならい |
最後は総エンディングでも使われている「友情のバラード」。
これに関しては、スタッフロールに入ってしまって字幕が途中で切れてしまうので、
詞はPART2のエンディングに独自の英語訳をつけた動画を参考にさせていただきました。
a
la guerre comme a la guerre
はフランス語の諺で「戦時には戦時のように(不自由に耐えなければならない)」
という意味らしいので、「友が倒れたとしても、それが戦争というものなのだから、
むやみに嘆かず弱者と謗ることもなく、ただそばにいよう」、ということかと。
総エンディングではサビから入って「哀れ敵は倒れた、けれど傲慢なふるまいは許さない」となっているので、
敵と対峙し、戦い、敵が倒れ…と続きになっているのでしょう。
流れからして、敵といえど勇士には敬意を払うべし、という感じで続くのかなあと推測しているのですが、
あとの歌詞を知りたいものです。
「おれたち4人だ!」と友情を確認してエンディングへの流れ、大好きだー。
悲壮感漂いつつ盛り上がるこの曲がまた胸に迫るのよ。
ラストシーンについてはすでに長々と語っているのであわせてご覧ください(笑)
2010.11.14