8話に入る前に、前回の雑魚寝のシーン、ゼルは荷の間の狭い所に寝てたんですね。
こういう見落としや勘違いも結構あるかもしれませんがエボ感想、書ける限りお付き合いいただけると幸いです。

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今回話のテンポは良かったですね。ほとんどダレることなくいい意味であっという間でした。…最後はええええええと思いましたが。

冒頭、前回のあらすじも余計な前置きもなしで「商品の買い付けのために旅に出る」という展開をすぱっと見せたのが、まずテンポよく感じた一因でしょうか。前回冒頭みたいなのも日常のやりとりが見られて楽しいですが、今回は最初からシリアスな流れで「おっ、急展開?」と思わせていい出だしでした。原作にもある、ラドックの「本音」についても説明会話がくどくなりすぎずうまく入ってたし。
「あたし(リナ)が殺されたらどうする?」に対する原作のアメリアの答え、「わたし、遺品をあさる」が好きなんですけど(笑)、さすがにアニメのアメリアのキャラでそれはやらなかったか。そのかわり「お祓いをする」という、ちょっとリナが怖がられてるアニメの力関係に見合った答えになりました。ゼルもそれに乗ってるし(笑)。原作ではゼロスがいてゼルはいなかったシーンでしたが、うまくキャラに合わせてきたな、という感じでした。流れとしてもガウリイの「葬式」からつながってますし。

 いざ出立。原作みたいにリナたちは馬車の周りについて歩いてくんじゃないんだ。自分だけラドック用のいい馬車に乗るリナに、こっちはラドックの愚痴を聞かずにすむし、とあてつけるアメリアとガウリイが仲良しでかわいい。
身を乗り出してるアメリアの後ろ姿、お尻に妙に力入ってませんでした?これはちょっといい尻だと思ってしまった(笑)。後半の対グドゥザの時の胸の強調は嫌なんですけどね…
自分もついていくと主張するアベル。さらに重くなりそうな馬車内の空気に、リナ、問答無用でポコタを拉致。案の定親子の会話はひたすら重い雰囲気に。今回のこの辺の作画、横顔とかが割としっかりした線の作画で、シリアスな雰囲気を漂わせていますね。


休憩(日も暮れてたし野宿?)中、アベルに妻の死の真相について語るラドック。原作でも「先代はあこぎなところがあった」、「殺し屋を雇うなら先代の生きてる時に雇ってた」などと言われてますが、実際盗賊たちを使って恨みを晴らそうとした奴もいたわけですね。目の前で殺された、というだけじゃなく(それももちろんショックには違いありませんが)、少しずつ弱って死んでいくのを、側にいるのに手を伸ばすこともできずに見ているしかなかったというのは…思った以上にキツい過去でした。ちょっとルークとかぶるけど。
展開としては判明するのはもう少し先ではありますが、もうラドック=ズーマとして感想書いていきます。
この辺の事情は神坂先生がアニメスタッフに教えたというズーマの過去なんでしょうね。これでどっか歪んじゃったわけか…。さっきも書いた、一息に惨殺、じゃなくて、じわじわと死んでいくのを見せ付けられるえぐさが神坂先生らしいと思う。
奥さんを殺されて、それで何で殺し屋に?と問われたら。
それこそ「こういう風にしか生きられん男だった」としか言えないんでしょうね。単純にイコールでつながるものじゃないもの。怒りや悲しみや、いろんな感情がどうしようもなくなって、その行き場を他人の命に求めてしまったのかもしれないし、多くの他人の死を見ることで奥さんの死の意味を薄めたかったのかもしれない。あるいはもともとラドックが持っていた破壊衝動みたいなものが、奥さんの死をきっかけに目覚めてしまっただけなのかもしれない。単純にこうだ、と言える理由や経緯なんて本人にもわからないんだと思います。正当化できるとも思ってないでしょう。ただ、どこかで狂ってしまった、その現実だけがある。  


話をアニメの本筋に戻します。
ラドックとその奥さんを襲った連中は、サイラーグ壊滅に巻き込まれてもうこの世にはいないとのこと。つまりは復讐の機会をリナに奪われたということなわけですが、これはズーマがリナに個人的に恨みを持っている、というアニメの事情に合わせたオリジナル要素でしょうか。コピーレゾとちょっとかぶりますかね(あちらはリナ達に対する意識は、復讐というよりは自分の力を認めるための儀式みたいなものでしたが)。レゾを倒したことでコピーに狙われ、そのコピーを倒した戦いがもとでズーマに恨まれる…わざと同じような要素の二重構造にしたのかもしれませんが。因果は巡る。
ただね、ズーマ、壷に眠る「レゾ」の力で魔族化したそうだけど、一番の大元をたどればレゾが悪いんじゃないか(もちろんズーマはそこまでの事情は知らないだろうけど)。それもまた因果か。
デュグルドとグドゥザは、単に露払いと思いきや、新たな腕の生贄だそうで。よくわからんけど、腕として取り込んだ魔族をより馴染ませるためのエサみたいなもんだと思えばいいんでしょうか。セイグラムがいない分(原作じゃ「友達のよしみで付き合ってよ」ってだけだしね(笑))、別の意味を与えるのはいいんですが、おかげでゼルとアメリアの見せ場が…。あまり対抗もできずにやられただけ…

ラドック=ズーマという事情をわかってみてるもんだから、ラドックがいなくなってからズーマが出てくるまでの間に、つい「着替えてたんかww」と笑ってしまった。
ズーマ対リナ・ガウ・ポコ、戦闘シーンとしての勢いはありました。
まあ私ガウリイファンだからね(笑)、もうちょっとガウリイが強く見えるように描いてほしいな、というのはありますけれども。
今回、いつもよりあからさまに「弱っ!」と思うような戦闘ではなかったんですが、魔法とかの描写が派手な分、ガウリイは押されてる印象になっちゃうんですよ。
ふと気がついたんですが、原作だと、リナはセイグラムに対して(ズーマと同化することで)「魔族としての自分さえ捨てた」と言っているのに対し、今回アニメだと、ズーマを「人間としての自分を捨てた」と評してるんですよね。もちろんアニメはセイグラムがからんでないので、ズーマに視点を合わせてこういう表現になった、というのは理由の一つだと思います。ただ原作では「同化」により呪文詠唱なしで術を発動できるなどのアドバンテージの一方で、「魔族でなくなること」のデメリット――すなわち、空間渡りが不可能で、自らの肉体を以って戦わなければならない――があることで、ズーマとガウリイの接近戦を面白く見せていると思うのですが、アニメは「魔族を取り込んだ」ことを強調し魔族的側面、有体に言えば魔力がパワーアップした演出になっていて、そういう点でもちょっとガウリイに分が悪くなってしまうのかな、と思いました。もともとアニメのガウリイに原作の戦闘描写求めるのは半分諦めてますけど。やっぱアニメは魔法偏重気味だよなー、と。

ラドックとアベルの結末は原作とは違うものになりました。
賛否両論ありそうですが、原作では「魔族が人の心によって敗れる」のがポイントとなるところが、やはり上記のような「同化」のスタンスの違いもあるので、アニメの流れとしてはこの結末もありかな、と思います。アベルの最期の演出(台詞が最後は唇の動きだけになる)のは良かったです。
それよりも…そこでゼロスですか。これが一番納得いかなかった…
ここまで、壷を狙ってる割に何やってるんだ、という状態だったしそろそろ絡ませてこないといけないのはわかるけど…すっげえ水差された感じ。作中のリナ達もそうだろうし、その感覚自体が演出でもあるんだろうけど…

今回で壷の機能がさらにわからなくなった。次回壷についてもう少し解明されそう?そしてゼルが本格的に前面に出てくるか!?  
 
 
<8話追記>
そういえばレボの頃に、「リナがズーマが暗殺者になったきっかけらしい」という説を所々で見かけた覚えがあるんですが、ズーマの過去が出るらしい、という話と、アニメでは初対面にも関わらずズーマがリナを恨んでいる、という状況からの当時の憶測であって、これは別に神坂先生の発言ソースではなかったですよね?暗殺者やりながら復讐の機会をうかがっている間に、サイラーグ壊滅のあおりを食ってしまい、その中心になったリナに恨みが向かったということなのだろうと思うのですが。
原作ではセイルーンでの時にはターゲットとしての意識しかないので、奥さん関連でリナに恨み、ってことはなさそうですし。原作ズーマはあくまで「暗殺者ズーマ」としてのプライドでリナを狙っている感じがします。これも一種の恨み、復讐心ではありますが、セイグラムの方がその意識が強いような。ラドックでいる時に怒鳴り散らすことでごまかしていた殺気は、むしろセイグラムの意識っぽい。(だって暗殺者がそんな殺気むんむんでいちゃあ…)
もし「奥さんを襲った連中がサイラーグ壊滅に巻き込まれて復讐不可能になった」というのも神坂先生の設定にあったとしたら、セイグラムと同化した時に魔族の情報網で、それにリナがかかわっていることを知った、という可能性もありますが、それでリナに恨みが向かうかどうかと考えると…もちろん奥さんの死は彼の心の底にずっと沈んでいるのでしょうけれども、「ズーマ」にとってはもうきっかけにすぎなくなっていたんじゃないかと思えるのです。そしてそれが本人にとっても哀しいんじゃないかなあと。
それに対してアニメは、奥さんの死をひきずっている「ラドック=ランザード」の心がそのままズーマに反映されていると思うんです。そしてそこがアベルとの結末の違いにもつながったのではないかと思うのです。
原作では、ラドックの、人としての、親としての心が、ズーマの暗殺者としてのプライドとセイグラムの復讐心を、ほんの一瞬だったかもしれないけれども凌駕したところに意味があった。しかしアニメでは、ラドックの、妻への愛という、これもまた人としての心のままに動いていたのがズーマだったわけで、原作通りの展開で「人の心ゆえに敗れた」というのではそぐわなかったと思うのです。
もちろん最初見た時はアベル殺しちゃうのかよ!と思いましたし、原作の展開では、アベルを殺せないところがいいのですが、ズーマのキャラ設定も変わっている以上、今回のアニメの展開として、彼の心の闇の深さを前面に出すのはありだったと思います。人の、負の方向へ向かう心の強さ、というと2部的な感じもしますね。

ゼロス乱入も、最初の感想に書いた通り、「なんでそこでお前が出てくる!」という憤りやズーマの虚しさ、後味の悪さもまた狙いなのでしょうし、ゼロスの魔族的な面も出ていて流れとしては良かったと思います。でもやっぱりむかつく(笑)

全体的に、これまでになくえぐい回でした(←いい意味で)

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<スレエボ壷考察>

今のうちに一度壷周辺に関する疑問・考察もろもろをやっておこうかと思います。…次回を見たら大笑いな内容になっているかもしれない。 
 
[まずここまでの情報の簡単なまとめ。勘違い・見逃し等あったらすみません

・冥王の壷は魂を封じる(保管する)、もしくは別の「器」に移すことができる
・レゾの魂が眠っている壷がある(現在オゼルが持っている壷)
・オゼルは壷の所有者に仕えるが、さらに大元ではレゾに仕えている
・オゼルは壷の破壊を望んでいるが、自分では壊せない制約がある(ゆえにリナたちに破壊を依頼)
・壷の存在は魔族にとっても危険な可能性があるためゼロスが動いている

こんなところでしょうか。
それから今回(8話)の中で壷周辺で気になった点を。
まず、ズーマは壷の中のレゾの力を借りて魔族を自らの身に取り込んだと言い、またデュグルドとグドゥザはレゾとの契約によりズーマに力を貸しゼルアメの相手を引き受けた、と言っていたことが一つ。壷の中に眠るらしい「レゾ」は、オゼルを動かすのがせいぜいなのかと思っていたら、意外に他に働きかけて動くことができるんですね。わざわざレゾがズーマに力を貸したのは、邪魔になりそうなリナたちをあわよくば消しておこうという魂胆だったんでしょうか。
もう一つ、壷の引渡しを要求するゼロスに対し、オゼルが「ならば壷を壊す」と言い、ゼロスも「本気ですね」と応えて退いてしまったわけですが、それだとそのつもりになればオゼルが壷を壊すことだってできてしまうことになっちゃうんじゃ…?てっきり、フィブリゾに復活させられたサイラーグの皆さんみたいに、「自分の意識や意志があっても、それができるようには作られていない」んだと思ってたんですが。…自分ではやれなくてもその場でリナたちに壊してもらう、という意味だったのかもしれないけど、リナたちもゼロス相手にまともに動ける状態じゃないし…。まあゼロスとしては、オゼルがとる手段がどういうものにしろ、今下手に手を出すととばっちりで壷が割れてしまうかもしれないということを危惧して退いたんでしょうかね。
5話の時点では、ゼロスの言い方だと「レゾの壷に用がある」というだけで、その壷をどうするつもりなのかは言ってなかったと思うんですが、この流れだと、魔族側は壷を壊すつもりではなく、とりあえず確保したいようです。
ただ、ここでオゼルの仕えるべき当面の壷の所有者がいなくなったのにゼロスも退いちゃったら、リナたちに壷を破壊させる絶好の機会を与えることになっちゃいませんかね?そういえばオゼル、自分で壊すのはNGでも、他人が目の前で壊すのはOKなのか?目の前で壊されそうになったら、壷を守るようにスイッチ入っちゃったりするのでしょうか。 

 それはさておき。
なぜオゼルは壷を壊したいのか、そしてなぜ魔族にとっては、危険かもしれないと言いながら壊されると都合が悪いのか。これについて、思いついた仮説。
ナーマの事例で、壷を壊す=魂は元に戻る、だと思い込んでしまっていて、壷を壊せばレゾの魂が解放されるなら、レゾに仕えているはずのオゼルがなぜ壷を壊せないようになっているんだ?レゾは自らが解放されることを望んでいないのか?と混乱気味だったのですが。
壷を壊したら魂が元に戻ったのはあくまでナーマの備えた条件――魂は壷の中にあるのではなく「移動」であり、戻るべき本来の肉体もある、という条件下ではそうなる、ということだったのかもしれないと思いまして。
ナーマ自身や同じく魂を移されているポコタなどを見ると、移された先の「器」が死亡(もしくは無生物なら再生不能な状態)になったら中身も普通に死にそうなんですよね。とすると、魂が壷に保管されてる状態で壷が壊れたら、同じように中の魂は消滅してしまうんじゃないでしょうか。
それなら、オゼルが壷を壊せないようにリミッターがかかっているのもうなずけるし、ゼロス(魔族)の動向も、壷を壊されるとレゾの魂とともに眠っているだろう魔王も復活できなくなるし、かといってそのまま復活されてもガーヴみたいに変に人間と混じってしまって「世界滅ぼす気はないよ」とか言い出されても困るしで、とりあえず自分たちで確保しておこうというつもりなんじゃ?と考えたら結構辻褄合いません?何か魔族考え方がセコいけど(笑)
そしてオゼルが壷を守る一方で壷の破壊を望むのは、かつてレゾがリナの重破斬を受け入れたように、再び魔に蝕まれるならこのまま消滅したほうがいいと望むレゾの良心がそうさせているのかもしれない。


以上好き勝手書きましたが次回、一体どうなることやら(笑)全然違ったらこっそり笑ってやってください。万が一当たってたらちょっと誉めてください(笑)
予告で壷壊れてましたしねえ。どういう経緯で壊れるのか。「壊れる」のか「壊す」のか。そもそもタイトルからして「壷の中身は何ですか?」だし、本当に中にいるのはレゾなのか?人でないモノ(魔王)入りだから「何」と表現したという可能性が一番高いとは思いますが、この期に及んでギャグ話じゃないよね、さすがに…  

 

レボで、しっかり「リナへの復讐のために暗殺者の道を選んだ」と言ってましたね
暗殺者になってから(すなわちイっちゃってから)復讐の対象がリナにすりかわったという流れの方が
通りは良いと思うんですが。
一流暗殺者として有名になるにはずいぶん早い気もしますが、
リナの知名度考えたら、才能あったら2年程度でも有名になれるのかもしれない。
何にしろ、「リナへの恨み」云々はアニメのみの設定でしょう。